ぷらぷらカメラ ひトリ歩き

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2008年 05月 21日

交差点

交わり別れる所
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ちょっと前の話。


制服の胸ポケットに花飾りを付けた男の子が、遠くを横切ろうとしている。
(今日は卒業式か...)

ゆっくり走って行くと、その子の向かい側から私服の男の子が近寄って行った。
制服の中学生はオドオドした感じの小柄のメガネ君。
私服の男の子は大柄で、服装からも態度からも、やんちゃでとっぽい匂いがぷんぷんする。
(どうするんだろう?)

道のど真ん中でふたりは行き会うと、ガッチリと固い握手を交わす。
(ああ、おめでとうって言ってるんだ...)
と思った途端、メガネ君の顔が苦痛に歪んだ!
(どうした!?)
握手しながら強い力で手を握りつぶしてるようだ。
(いじめてんのか?)
ふたりは熊助のクルマの行く手を塞ぐ形になった。
(クルマおりて止めさせなきゃいけないかなあ?)
ところが握手が終わるとふたりともニッコリ笑い、お互い肩をポンポンと叩き合って笑顔のまま別れるではないか。
(なんなんだ〜???)

と、やんちゃ君、熊助のクルマに向かって手を挙げた。
(中学生なのに乗るの???)



「◯◯駅の◯◯のそばまでお願いします。」
やんちゃ君はとても丁寧に行き先を告げる。
「はい、かしこまりました、◯◯駅の◯◯のそばですね。」
?マークいっぱいの熊助は言われるままに出発進行。

やんちゃ君、携帯を取り出して
「うん、今クルマに乗ったから。5分でいくから。うん、待ってて♡」
声のトーンから彼女にかけてるらしい。
(中坊がクルマでオンナのトコに行くのかよ...エライ世の中だよなあ...)

「今日卒業式だったんすよ。」
「それはおめでとうございます。」
熊助は動揺する気持ちを隠しての受け答え。

「オレ、この辺じゃ有名で、みんなオレのコト知ってるんすよ。この辺の学校のヤツはみんなトモダチなんすよ。」
「それはすごいですね。」
「でもそいつらともこれでお別れなんすよ。」
「それはどういう事ですか?どうされるんですか?」
「千葉の学校の定時に行くんすよ。」
「引っ越すんですか?」
「いや、親はコッチにいて、オレだけひとりで。」
「ええっ、まだ中学出たばかりなのに、なんでまた一人暮らしなんてするんですか?」
子を持つ親の身としては解せない。
「サーフィンやりたいんすよ!」
やんちゃ君が明るく弾む声で答えてくれた。

「ああ、そういう事ですか、なるほど。でもすごいですね、一人暮らしする決断ができるなんて。」
「行ったらそんなにいつも帰って来れないと思うっすよ、ここまでの電車賃高いから...」
そこはちょっと小さい声。

そうか、さっきのメガネ君との握手、あれは彼なりの友達との別れの挨拶だったのか。
肩を叩き合うふたりの笑顔は、とっても清々しかったものなあ。



「ここでよろしいでしょうか?料金は◯◯円です。」
小さくたたまれた千円札を熊助に出しながら、
「これから彼女に会いに行くんすよ!」
と、一段と明るい声。
やんちゃ君のはにかんだ笑顔には、子供と大人の両方の顔が入り交じっている。
熊助にはちょっと眩しい。

「これからたいへんだと思いますけど、頑張って下さいね。」
「はい。」
答えてくれたその顔はきりりとした大人の男の顔。
いいなあ〜

クルマから降りて、ぴょんぴょん弾むように駆けて行くその後ろ姿は子供の男の子。
かわいいなあ〜


ほんの一瞬だけ交わり、もうたぶん二度と会う事はないだろうやんちゃ君。
熊助はキミの健やかな成長を祈って止まない。

by falcon65 | 2008-05-21 18:32 | 熊助の車窓から(仮)


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