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2007年 06月 04日

ALS(筋萎縮性側索硬化症) その26

ALSとは何か

ここまでの話はこちらから


*** ALSという病気についてボクが見聞きした事を書いています。興味がない方は読み飛ばして下さい ***


この内容に興味の有る方は下のMOREをクリックの上、先にお進み下さい。






胃瘻造設の手術から一週間ほどが経った。まだおなかの傷はくっついてはいない。
胃瘻のチューブとまわりの肉がうまく馴染めば、退院して自宅での療養になる。
その予定はあと一週間くらいあと。10月15日と最初に先生に言われている。
普通、手術から二週間もたてば傷口は馴染むようだ。

父の様子はどうか。
入院前よりもさらに一段と痩せこけてしまった。
ろくに食べられない体力の落ちた身体で、手術を受けたのだから仕方ないだろう。
ベッドで身体を起こすのもゆっくり。
そこから床に立ち上がるのもゆっくり。
スローモーションの映画を見ているような動き。
それでも、手助けを受ける事無く、ひとりで歩ける。
その姿を見てボクは安心していた。
寝たきりじゃないんだから、まだまだ元気なんだから…

この先父が退院して自宅に戻ったら、ボクはどう介護に関わったら良いんだろうか。
歩けてトイレに自分で行けるなら、難しいと考えていた下の世話を当分しなくてすむなあ。
そんなのんきな事を考えてもみた。
実家にはたびたび帰って母と姉と負担を分担しないとなあ。
そう思っても具体的には何をすれば良いか、考えつかない。
まあ、なるようになるさ。

父の表情は暗い。
入院する前と比べて、たかだか十日くらいしか経っていないのに、また一段と老け込んでいた。
自分の体の自由が、日一日と利かなくなって行く事を感じている。
鏡を見る事を嫌がっていた。
そこに今まで見たことの無い自分の顔が見えてしまうから。

口を開いて声を出す事もしなくなった。
何を言っても言葉として発音できないから。
う〜とか、あ〜とか、お〜とか、うなり声にしかならない。
聞き返されても説明出来ないので、しゃべるのをやめてしまった。

ああ、筆談の代わりにパソコンを用意しないといけないなあ。
父は手足や指先は動くのだから、まずはキーボード入力を覚えてもらわないといけない。
そうすればしゃべれないハンディも何とか出来るはず。
でもマトモに作文出来ない父は相当苦労するだろうなあ。
そんな事を考えていた。

by falcon65 | 2007-06-04 19:48 | ALS筋萎縮性側索硬化症


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