2007年 02月 19日

硫黄島訪問記 5

62年前の今日2月19日、この砂浜にはたくさんの米軍兵士の屍が並んでいた。


1986年6月 擂鉢山山頂から見た翁浜
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3日間続いたの艦砲射撃の後、1945年2月19日午前7時45分、
米海兵第4、第5師団の兵士達を乗せた上陸用舟艇がこの浜に殺到する。
栗林将軍の水際無抵抗作戦により、日本軍は沈黙を守った。
上陸した多数の米軍兵士が、艦砲射撃で日本軍が全滅したと楽観し始めた頃、硫黄島全島の日本軍火砲が火ぶたを切った。
砂浜に釘付けとなった米軍兵士は、まるで屠殺場に放り込まれたかのように粉砕される。

映画「硫黄島からの手紙」ではその様子がリアルに描かれており、そのシーンだけでも映画を見てもらいたいと思う。
大変残酷なシーンであるが、実際にこの静かな砂浜であったことなのだ。




米軍慰霊碑の前で
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後列右が当時のボク。
記念撮影をする時、どんなポーズを取ったら良いか悩んだことを思い出す。
ピースサインをする場所でないことは確かだ。

硫黄島と書いて「いおうじま」と読むが本来は「いおうとう」と読んだ。
米軍側が「Iwo Jima」と呼称しそれが定着した硫黄島 (東京都)出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』




山頂から南側を見る。
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三角のトンガリ山は南硫黄島。
波ひとつないベタ凪のの海が、現代の平和を象徴しているようだ。
ボクらの足の下には、まだ故郷に帰れない日本の兵士の遺骨が、いっぱい有るのかもしれない。
そんな悲しい気持ちと、この穏やかな眺めのあまりの落差に目眩した。




擂鉢山を下り帰路につく
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カラッポのヤカンと、弁当がらが入ったビニール袋が唯一の持ち物。
このあと水無しで4キロの道のりを帰ることに不安を感じていたが、
お坊さんが乗ったマイクロバスに拾い上げてもらい事無きを得る。
地獄に仏とはこの事だと思ったが、この厳粛な場所ではそんな軽口も言えない。

ボクらはほとんど口もきかずに、窓の外を流れる景色を眺めていた。
皆何を考えていたのだろうか。




波乗りをするバイト達
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朝上陸した場所に戻ると、硫黄島に上陸することを選ばなかったバイト達が、サーフィンを楽しんでいた。

ボクがこの島から感じていた気持ちと、この風景はあまりにも離れている。
なんとも言えぬ違和感が身体を包んだ。
でもこれが今の現実。
平和の国として日本は生まれかわった。
そうなる為に本当にたくさんの人の命が失われた。



慰霊団の日程は2日間である為、その夜小笠原丸は硫黄島沖に停泊していた。
暑い一日を過ごした慰霊団の方々は、船室でゆっくり休んでいる。
ボクらは営業の終わった仕事場のレストランで酒盛り。
航海中は毎晩の事。
昼間の事をてんでにしゃべりながら杯が進む。

と、窓際にたったひとりが素っ頓狂な声を上げた。
「外見てみろ! すげーぞ!!!」

外は真っ暗なのだが、船の照明でそのまわりだけとても明るい。
その灯り目指して、無数のトビウオが集まって来た。
銀色に輝く羽を広げて、そこら中をキラキラ飛び回っている。
みんな必死に船に向かって飛んでくる。

「網でもザルでも鍋でも、掬える物なんでももってこい!」
たくさんのトビウオが船に激突してプカプカ浮いている。
その数も無数だ。時ならぬトビウオ漁が始まった。
「酒の肴は獲れたてトビウオの刺身だ」
手の届く所に浮いてるヤツを競って掬う。

そんなみんなの様子を見ながら、ボクはある感慨にとらわれていた。
帰れない日本の兵士達の魂がトビウオになったのではないか...
妻子が父母兄弟が乗っている小笠原丸めがけて、トビウオは皆飛んでくる。

-この船に乗って一緒に日本へ帰りたい-

ボクは唇を噛み締めてトビウオ達の飛翔を見つめていた。
次々と船縁に激突して息絶えていく様を...




夕日に向かって飛翔する「かっとびくん」(千葉県野島崎)
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今ボクが好きな事をして、好きなように生きていける事を感謝する。
日本という国に生まれた事を感謝する。
今の平和を感謝する。

そしてたくさんの人々が、先の大戦で命を失った事を忘れない。
今の日本は、その人々の血の上に成り立っている事を忘れない。
この記事を読まれた方も、その事をしっかり覚えていて欲しい。



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ありがとうございます

by falcon65 | 2007-02-19 23:09 | 硫黄島


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